長期優良住宅
2020年9月8日
「長期優良住宅」というワードを耳にしたことはありますか?
こちらは“長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅”に与えられる名称です。
2009年6月に始まったこの制度ですが、長期優良住宅は安心して居住出来ることはもちろん、税金の控除や金利面でも優遇される制度となっています。
では長期優良住宅とは具体的にどのような仕様、性能を備えている住宅なのでしょうか。
詳しい内容とメリットを解説していきます。
長期優良住宅とは
一般社団法人住宅性能評価・表示協会のホームページによると、長期優良住宅の定義は以下のように記載されています。
・長期に使用するための構造及び設備を有していること
・居住環境等への配慮を行っていること
・一定面積以上の住戸面積を有していること
・維持保全の期間、方法を定めていること
長期優良住宅と認められるのに必要な基準のうち主なものを表にまとめています。
長期優良住宅の主な認定
耐震性 | 極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること 【耐震等級2以上、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)等級1など】 |
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住居面積 | 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること 【戸建75㎡(マンション55㎡)以上、少なくとも一つの階の床面積が40㎡以上】 |
居住環境 | 所管行政庁の審査良好な景観の形成、地域の街並みに調和していること |
劣化対策 | 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること 【劣化対策等級3相当等】 |
省エネルギー性 | 必要な断熱性能などの省エネ性能が確保されていること、断熱性能に優れていること 【断熱等性能等級4】 |
高齢者等対策 | (マンションなど)将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること 【高齢者等配慮対策等級(共用部分)の 等級3(新築住宅)】 |
可変性 | (マンションなど)ライフスタイルの変化に応じて間取りの変更がしやすいこと |
維持管理 更新の容易性 | 構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備の維持管理がしやすいこと 【維持管理対策等級(専用配管・共用配管)3、更新対策等級3(共用排水管)】 |
維持保全計画 | 定期点検、補修の計画がつくられていること |
長期優良住宅のメリット
メリット①住宅ローン控除
長期優良住宅の場合、一般の住宅に比べて、住宅ローン控除(10年間)の最大控除額が100万円アップします。
一般の住宅の控除との違いを表で見てみましょう。
※2021年12月31日まで控除期間は13年に延長
11~13年目は控除額が変わります。
長期優良住宅と一般の住宅の控除
控除期間 | 10年 ※1 |
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控除率 | 1.0% |
控除対象借入限度額 | 長期優良住宅/5,000万円 一般住宅/400万円 |
最大控除額 | 長期優良住宅/500万円 一般住宅/400万円 |
年間控除額 | 長期優良住宅/50万円 一般住宅/40万円 |
※1…消費税10%への増税に伴って住宅ローン控除の軽減措置が拡充し、2021年12月31日居住分まで拡充中で13年に延長。11年目~13年目は「年末の住宅ローン残高の1%」と「建物購入価格の2%の1/3」の金額のうち、低い金額のほうが控除される(最大控除額400万円)
ただ、借入れ額が4,000万円以下の場合両者に差はありません。
4,000万円以上借入れないケースではこの恩恵の効果はあまり無いのが実情です。
しかしながら、長期優良住宅による税制面での優遇はまだ他にもあります。
メリット②登録免許税の減税(2022年3月31日までの取得分)
■所有権保存登記
・新築住宅:長期優良住宅 0.1% (一般住宅0.15%)
・中古住宅:長期優良住宅 0.2%/戸建、0.1%/マンション (一般住宅0.3%)
メリット②不動産取得税の減税(2022年3月31日までの新築分)
■評価額からの控除額:長期優良住宅 1,300万円 (一般住宅1,200万円)
メリット③固定資産税優遇期間の延長(2022年3月31日までの新築分)
■固定資産税の減税(1/2へ減額)期間:長期優良住宅5年間/戸建、7年間/マンション (一般住宅3年間/戸建、5年間/マンション)
メリット④所得税控除 投資型減税(2021年12月31日までの入居分)
■性能強化費用として支出した額の約10%分が所得税から控除され、控除の限度額は650万円までです。
性能強化費用(掛かり増し費用)=住宅の床面積×43,800円/㎡
■控除額=(掛かり増し費用(㎡)× 床面積(㎡) × 10%
で算出できます。
控除額の計算方法は以下です。
(その年の所得税で控除額しきれない場合は、翌年の所得税に繰越可能です。)
ローンを組まずに現金一括購入した方も利用できますが住宅ローン減税と併用ができません。
メリット⑤住宅ローンの金利の優遇(フラット35S)
■フラット35Sの「金利Aプラン」を利用できる:当初10年間を年0.25%引き下げ (フラット35の基準金利より優遇)※1
※1…フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携し提供している全期間固定金利型の住宅ローンのこと。
詳しくはコンテンツ「住宅ローンにはどんな種類がある?」の【全期間固定型金利の代表的なローン】の欄を参照ください。
長期優良住宅のデメリット
デメリット①建築・申請に時間と手間がかかる
性能の高い優良な住宅を建てるには工期がかかります。その分野で実績のある工務店やハウスメーカーに依頼すると良いかもしれません。
申請手続きのサポートのある工務店やハウスメーカーもありますが、費用がかかります。
デメリット②申請費用
工務店やハウスメーカーにサポートを依頼する時の費用もさることながら、ご自身で申請した場合も技術審査や認定手数料などで5~6万程の費用が必要と言われています。
デメリット③保全のコストがかかる
長期優良住宅の場合先に述べた認定基準一覧にもあるように、保全に関する基準があります。
そのため、定期メンテナンスを行わなければなりません。
建物を長持ちさせる意味合いでは有益ですが、その分コストはかかります。
デメリット④税制面の優遇が期間限定
税制面の優遇は上記でお話しましたが、永続的な優遇ではなく期限がありますのでしっかり内容はチェックしておきましょう。
デメリット⑤認定は戸建が多い
戸建にくらべ、長期優良住宅認定の分譲マンションはまだ少ないので競争率は高くなっています。
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申請の流れ
長期優良住宅を申請するにあたって手順はどのようになっているのでしょうか?
申請は大変ですが、手数料がかからないようにするにはご自身で申請する必要があります。
ポイントは、「着工前に申請」しなければならないことです。また、必要書類も多岐にわたりますので時間に余裕をもって臨みましょう。
必要書類や費用については最新情報を各市町村のホームページでチェックしておきましょう。
では、以下で大まかな手順を説明していきます。
①計画の作成(建築着工前)
認定申請書と添付書類をマイホームを建てる土地の所管行政庁に提出
②審査の依頼
登録住宅性能評価機関へ事前の技術審査を依頼
(所轄行政庁に提出する「適合証」は、登録住宅性能評価機関へ審査を依頼し基準をクリアすると交付が受けられる)
③適合証の受理
評価に問題がなければ、登録住宅性能評価機関から「適合証」が交付される
④所管行政庁へ認定申請
所管行政庁へ必要書類(適合証も)も添えて認定審査を申請する
⑤所管行政庁から認定通知書を受理
所管行政庁の審査を経て、認定通知書が発行される
(審査の所要期間は各機関で異なります)
⑥工事完了時には所管行政庁へ報告
以上が申請の大まかな流れになります。
一般の家づくりでも大変ですが、長期優良住宅となるとさらに入念な準備と計画が必要になります。
ですが、品質の高い住宅に住むのは安心・快適でしょうし、売却の際にも一つの強みとなるかもしれません。
メリット・デメリットを良く検討し、人生の最大ともいえるイベント“マイホームづくり”を後悔のないように成功させたいものですね!
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