住宅性能表示制度
2020年9月18日
2000年4月1日に施行された『住宅の品質確保の促進等に関する法律』(品確法)に基づき設定されたのが『住宅性能表示制度』です。
国土交通大臣によって登録された登録住宅性能評価機関によって性能評価された新築・中古住宅には「性能評価書」が交付されます。
「住宅性能評価書」は【設計住宅性能評価書】と【建設住宅性能評価書】の2種類あり、統一された”等級”などで記されていますので購入者が安心して住宅の性能を比較できるようになりました。
住宅性能表示制度のメリット
住宅性能表示制度は購入者が安心して住宅を選ぶ一つの指標になるという利点は上記でお伝えしましたが、その他にもいくつかメリットがあります。
メリット①地震保険の優遇
住宅性能表示制度によって評価された建物は、評価された耐震性能の等級に応じて地震保険料が割引になります。
住宅性能評価書による地震保険料の割引率(2019年5月28日地震保険基準料率表による)※1
免震建築物割引 | 50%割引 |
---|---|
耐震等級割引 (構造躯体の倒壊等防止) | 耐震等級1:10%割引 |
耐震等級2:30%割引 | |
耐震等級3:50%割引 |
※1…最新の情報については、損害保険会社にお問合せ下さい。
メリット②トラブル発生時の対応機関の設置
住宅(建設住宅)性能評価書が交付されている住宅において、購入後にトラブルが起こってしまった場合、指定住宅紛争処理機関(各地の弁護士会)に手数料1万円(1件あたり)で紛争処理を依頼できます。
指定住宅紛争処理機関というのは、裁判を行わず住宅の紛争をあっせん・調停・仲裁などで速やかに解消するために設けられた機関です。
メリット③住宅ローンの優遇
公共団体の住宅ローンや民間金融機関のローンにおいて優遇される場合があります。
また、住宅性能表示制度を利用した新築住宅では、要件を満たすと【フラット35】(住宅金融支援機構と民間金融機関の長期固定金利型の提携ローン)の手続きが簡素化される特典もあります。
そのほか、民間金融機関や公共団体の住宅ローンの優遇を受けられる場合があります。
新築住宅・中古住宅の住宅性能表示制度
■新築住宅の住宅性能表示
新築住宅の場合、ハウスメーカーや販売会社によって“省エネ”など住宅の性能の定義・表現もまちまちでしたが、住宅性能表示制度により統一した基準で表現が取り入れられ、比較しやすくなりました。
また、これから住宅を建築したり住宅探しをする際に、条件として“耐震等級2”以上など、こちらの意思・希望が業者にとっても明確で伝えやすくなります。
住宅性能表示制度はもちろん、戸建のみでなくマンション等の共同住宅にも適用されています。
契約の際に、契約書面に住宅性能評価書(またはその写し)が添付されている場合には、一般的に住宅性能評価書に記された性能を持つ住宅として建設すること、または建設した住宅であることを契約したものとみなされます。
新築住宅の評価書には2種類あります。
①設計住宅性能評価書…設計書を基に評価される。
②建設住宅性能評価書…設計住宅性能評価書を受けた建物に対して、施工段階・完成段階の調査も実施する。
そして、その性能は下記の10の項目で評価されることになります。
① 地震などに対する強さ(構造の安定)/耐震等級(最高等級3)など
② 火災に対する安全性(火災時の安全)/耐火等級(最高等級3または4)など
③ 柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)/劣化対策等級(最高等級3)
④ 配管の清掃や補修のしやすさ、更新対策(維持管理・更新への配慮)/維持管理対策等級(最高等級3)など
⑤ 省エネルギー対策(温熱環境・エネルギー消費量)/断熱等性能等級(最高等級4)など
⑥ シックハウス対策・換気(空気環境)/ホルムアルデヒド発散等級(最高等級3)など
⑦ 窓の面積(光・視環境)/単純開口率、方位別開口比
⑧ 遮音対策(音環境)/重量床衝撃音対策等級(最高等級5)など
⑨ 高齢者や障害者への配慮(高齢者等への配慮)/高齢者等配慮対策等級(最高等級5)
⑩ 防犯対策/開口部の侵入防止対策
■中古住宅の住宅性能表示
中古住宅の場合、劣化の度合いや不具合など住宅の現状を把握しやすく、理解した上で購入が出来るメリットがあります。
またこれからリフォームを行う際にもリフォーム業者へ伝達しやすくなるでしょう。
検査対象は基礎から柱、バルコニー、屋根に至るまで通常、評価員が実際に歩行したり目視や巻き尺による計測などの非破壊検査を行い、先に述べた新築住宅の「性能評価項目10項目」のうち「音環境」を除いた9項目について評価します。
その後、評価結果を記した「現況検査・評価書(既存住宅性能評価書)」が発行されます。
ただ、設計段階から評価するものでは無いため、外観からの判断となるなど評価の精度には限界があります。
ですので、あくまで住宅性能表示制度は中古住宅の欠陥の発見や指摘の目的のものではなく適切な維持管理のためと捉える必要があります。
マンションなどの場合、住戸部分と共用部分の評価が必要なため、事前に管理組合等との相談も必要になるでしょう。
住宅性能表示を受けるには
住宅性能表示制度を利用するには、全国にある「住宅性能評価機関」へ依頼します。一般社団法人 住宅性能評価・表示協会のホームページでも評価機関を検索できるようになっているようです。
申込者は住宅の買主、売主、仲介者または実際に住んでいる方、住宅を所有している方や管理者などでも申請可能ですが、立ち入り検査を行うため所有者の同意が必要となります。
新築建売住宅や注文住宅、中古住宅などは購入予定者が販売者や仲介者へ相談のうえ依頼するケースが多いでしょう。
いっぽう新築マンションの場合「住宅性能評価書付きマンション」として、販売する会社が費用を負担し付加価値をつけて販売するケースが多いでしょう。
中古マンションの場合、上記で述べた通り共用部の調査も必要なため事前に管理会社へ相談することになります。
住宅性能表示制度利用にかかる費用
住宅性能表示を受ける際にかかる費用は延べ面積によって10万円~20万円が相場といわれています。
それぞれの評価機関で手数料も異なりますので、事前に確認しましょう。
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