契約不適合責任・瑕疵担保責任

瑕疵担保責任1

2020年9月19日

2020年4月1日、法改正により従来の「瑕疵担保責任」に代わり「契約不適合責任」が施行されました。

両者はおおむね同義になりますが「契約不適合責任」は、より買主側の保護に重点が置かれる法改正となっています。

従来の「瑕疵担保責任」は例えばマイホームを購入し実際に住んでみると雨漏りがした、雨の時期に白アリが出てきた、施工不良を見つけたなど、販売業者や仲介の不動産業者も気づかない欠陥(瑕疵)が見つかる場合があります。このような場合、買主は決められた期間内に申し出ると売主等に対して補修の請求、契約の解除、損害賠償の請求を行うことができました。

「契約不適合責任」は、住宅の売買において交わした契約が「契約内容に適合していない」と判断された場合に、売主が買主に対して損害賠償や代金減額などの責任を負うものです。契約書に記載があるかないかが争点となってきます。

 

 

瑕疵担保責任との違い~買主側に増えた4つの権利~

これまで「瑕疵担保責任」では民法上、購入した住宅に“隠れた瑕疵”(買主が知らなかった不具合)があった場合、売主に対して損害賠償や契約解除の請求が可能でした。

さらに新築住宅の場合、“隠れた瑕疵”があった場合「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」により瑕疵部分の補修請求のみ可能であり、その瑕疵により契約した目的の達成が不可能な場合のみ買主側から契約の解除が出来たのです。

 

「契約不適合責任」では“損害賠償”・“契約解除”に加えて4つの権利が買主側に与えられています。

①追完請求    (補修請求) 契約後、物件に欠陥があった場合で契約書にその旨の記載が無ければ売主に対して補修や、代替え物、不足分の引き渡し請求ができる
②代金減額請求 ①のケースにおいて“追完請求”ができなかった場合、または期限内に補修がされなかった場合、不適合の程度に応じて代金減額請求を行える
③催告解除 ①のケースにおいて売主が“追完請求”に応じない、“減額請求”では買主が承諾できない等の場合に、契約を白紙に戻すことができます
④無催告解除 契約後の物件に欠陥があった場合、その欠陥により契約の目的を達成できない場合(多少の不具合や、補修可能なケースは認めらない)催告せずに契約解除が行える

法改正により“隠れた瑕疵”という概念は無くなり、契約書に記載してあるかどうかが問われるようになりました。

売主側は物件の不備を事前に把握して契約書に記載しなければなりませんし、その内容を買主は熟読し納得した上で物件を購入をする必要があります。

とは言え、住宅の専門知識の無い売主が物件の不備を詳細に把握するのはなかなか難しい部分もあります。

トラブルを未然に防ぐためにも、国土交通省ではインスペクションの活用促進を勧めています。インスペクションとは国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士による建物状況調査です。

不動産業者は売主に建物状況調査の斡旋を説明し、売主の判断で建物状況調査が行われた場合はその結果を重要事項説明時に買主に報告しこの件に関する内容を双方が確認した書面を交付することとなっています。

契約不適合責任2

契約不適合責任の期間

では、この契約不適合責任が有効な期間はどれくらいでしょうか?

個人間での売買において契約書に期限の記載が無い場合、民法では“買主は「不具合を知ったときから1年以内」に不具合の内容を売り主に通知することが必要”とされていますのでこれに準じます。

 

こちらはあくまで契約書に期限の記載が無い場合になりますので、契約書に定めれば、1年より短くしたり長くしたりすることが可能となっています。

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契約不適合責任の免責

物件の売買の契約書で「契約不適合責任」を免除する特約があった場合、これは有効なのでしょうか?

 

実のところ契約不適合責任は任意規定になりますので、これは有効になります。

ですが、免責の特約があっても「契約不適合責任」を免れない場合がありますのでいくつかあげておきます。

  • ● 売主が不具合など契約内容に適合しないことを知っていながら買主に告知しなかった場合

  • ● 売主自らが第三者の利益のために権利を設定したり、物件を譲渡した結果、契約内容に不適合をもたらした場合

  • ● 売主が不動産等の宅建業者で、買主が個人である場合、契約不適合があったことを買主が売り主に通知する期限を物件の引き渡しから2年以内に限定した場合(2年以上でなければならない)

  • ● 新築住宅の売主は、物件の引き渡しから10年間「主要構造部分」について契約不適合責任を負うため、これに反する場合。(品確法)

契約不適合責任の期間や免責部分については特約で売主側にも買主側にも有利になるように定められますので、契約の際には契約内容をしっかり確認し、双方の納得した売買契約を行いましょう。

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