定期借地権

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2020年9月25日

「定期借地権」は一定の期間を定めて土地を貸す場合の権利のことです。

従来の「普通借地権」は契約した期間が終了しても借地人の都合によって契約が自動的に更新できるようになっていました。

 

普通借地権に比べて契約の更新のない「定期借地権」は、土地の貸主にとっては契約終了時に土地を返還してもらえるので安心して人に貸すことが出来るようになりました。

また、借りる人にとっても「普通借地権」に比べて安価に土地を借りることが出来るようになりました。

 

定期といっても50年以上は借りられるわけですから、子どもに相続させたいなどの希望が無ければ建物の寿命が来る頃までは普通のマイホームとして居住できるわけです。

東京などの都会では定期借地権付きの分譲住宅やマンションが多く、理想の立地で安価にマイホームを手に入れることが出来る一つの手段として選択されています。

 

定期借地権の種類

定期借地権は3つに分類されます。

①一般定期借地権

平成4年8月1日に施行された借地借家法によって創設されました。契約更新や期間延長は無く契約終了時には更地で土地が返ってきます。

契約期間 50年以上
利用目的 制限なし
借地契約の終了 契約期間の満了
借地契約終了時 更地で返還する
契約の形式 公正証書

一般定期借地権の貸主側のメリット・デメリット

一般定期借地権は貸主側にとって以下のメリット・デメリットが考えられます。

 

メリット①利用目的の制限がない

住宅用にも事業用にも借用人の都合で用途を問わず利用でき、借りる側にとって「借りやすい土地」になります。

 

メリット②契約終了時に建物の買取をする必要がなく、解体費用もかからない

建物譲渡特約付借地権のように建物買取請求権が無いので買取も建物解体も貸主側が行う必要がありません。また更地返却で次の貸し出しがスムーズに行えます。

 

メリット③安定した収入源となり、固定資産税と相続税の節税になる

契約期間が満了するまでは貸主の自由にはならず、土地の利用が制限されます。このことにより、土地の財産評価額が低く評価されます。

したがって、財産評価額をもとに算出される固定資産税や都市計画税、相続税は税額が貸し出し前よりも安くなります。

 

参照:固定資産・都市計画税

デメリット①途中解約できず長期にわたって土地利用ができない

50年以上という契約期間の間は貸主の土地の利用はできず、途中解約もできませんので良く検討して貸し出しをする必要があります。

 

デメリット②契約更新はできない

契約の更新や延長はありませんので、次の借地人を探すか他の活用を考える必要があります。

 

 

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一般定期借地権の借主側のメリット・デメリット

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いっぽう一般定期借地権は借主側にとっては以下のメリット・デメリットが考えられます。

 

メリット①固定資産税と都市計画税の節税になる

固定資産税や都市計画税の土地の部分については所有者に対して課税されますので、借主には納税義務がありません。そのため土地を購入してマイホームを建てるより節税になります。

 

メリット②安価にマイホームが実現する

土地を購入してマイホームを建てるよりも、借地権付き建物の場合前者の約6~8割程度で販売されるため手に入れやすくなっています。

都心などでは土地の坪単価も高いため、定期借地権を利用して理想の立地に住宅を持つチャンスになります。

 

デメリット①地代や保証金などがかかる

マイホームといえども、借地代を毎月地主に支払うことになります。また、賃貸住宅の敷金と同じように契約時に地代と別に保証金を払うケースが多いです。

保証金は土地の価格の20%~25%程度が目安で、契約終了時に何も問題がなければ返還されます。

そのほか、前家賃のように契約時に「前払い地代」がかかったり、定期借地権マンションなどの場合「解体準備金」がかかる場合もあります。

また、地代自体は固定資産税の増減や消費者物価の変動などの理由で2~3年ごとに改定されることがありますので注意してください。

 

デメリット②融資が受けにくい場合がある

ご自身で所有権を有する土地ではないため、融資の際の担保評価が低くなり融資が受けにくい場合があるかもしれません。

近年定期借地権付き住宅ローンも出現しているようですので、調べてみましょう。

 

デメリット③増改築時の許可

小規模なリフォーム、修繕では貸主の許可が不要な場合が多いですが、増改築の場合は許可が必要になります。

契約書に増改築の禁止がうたわれている場合もありますし、貸主への「増改築承諾料」がかかる場合もありますので注意が必要です。

建物をリフォームする場合、地主の許可がいるケースがほとんどです。リフォームの規模によっては地主に支払いが発生するケースもあり、気を付けなければなりません。

デメリット④借地人死亡の場合の相続税
もしも借地人が死亡し、定期借地権付き建物を相続してしまった場合、途中解約ができませんので相続人が地代を払い続けなければなりませんし、契約終了時には建物を解体する必要が出てきます。

もし貸主との交渉で途中解約が出来たとしても、途中解約の違約金などはかかる可能性が高くなります。

ですので、万が一を考え相続人に迷惑が掛からないように準備しておくことも必要かもしれません。

 

 

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②建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権は契約期間が30年以上の契約となり、契約期間満了後は借地に建っている建物を貸主が買い取る必要があります。

契約満了時の建物の価格については算定方法(不動産鑑定士の鑑定評価や固定資産税の評価額など)のみを予め決めておく方法と、予定額を決める方法がありますが予定額は満了時に建物の老朽化などで予定していた額と同等の価値が無いケースがあるため難しくなっています。

メリットとしては30年以上の固定収入が約束されることと、返還後も買い取った建物で賃貸経営などが出来ること、また建物があることで固定資産税の節税が出来ることなどがあります。

 

デメリットとしては契約の更新はないことと、契約満了時に建物が価値のない建物の場合、収入を得られず解体をするケースが出てくるなど、リスクがあることでしょう。

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契約期間 30年以上
利用目的 制限なし
借地契約の終了 30年経過時点で譲渡を特約
借地契約終了時 地主が建物を買取
契約の形式 事実上の書面
③事業用定期借地権

事業用定期借地権は、事業のために土地を貸し出す借地権です。

契約期間は10年以上30年未満と、30年以上50年未満の2種類からなり、10年以上30年未満の場合は契約更新や建物の買取請求を貸主に対して出来ませんし、契約満了時は借主が建物を解体して返還します。

 

30年以上50年未満の場合、更新と建物再築に伴う存続期間の延長(建物を建て直し契約期間を延長する)、建物の貸主への買取請求については「不可」の特約設定が有効となります。

契約期間 10年以上50年未満
利用目的 事業用
借地契約の終了 契約期間の満了
借地契約終了時 更地で返還する
契約の形式 公正証書

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